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新春企画 2010年為替相場展望

2008年のリーマンショックが起こり、2009年はドバイショックなどの影響で米ドル円が一時84円台に突入するなど、ここ数年為替相場に注目が集まってきました。2010年はどんな為替相場になるのでしょうか。
個人投資家の皆さまに、為替のスペシャリストであるドイツ証券の深谷氏より、2010年の為替相場見通しをお届けいたします。


深谷 幸司氏
ドイツ銀行グループ ドイツ証券株式会社 シニア為替ストラテジスト
東京大学法学部卒業後、三菱銀行入行。円債券ディーリング業務、為替アナリスト、チーフエコノミストを歴任。現在はドイツ証券 シニア為替ストラテジストとして活躍。

「円高リスクから円安バイアスへ」

昨年末にかけてドルは反発に転じた。この動きについて、見方は二つに分かれている。ドルショートポジションの手仕舞い、あるいは12月の季節的なドル需要による一時的な動きとの見方がひとつ。あるいは長期にわたるドル安がいよいよリバウンドのときを迎えたとの見方がもうひとつである。なおも予断は許さないものの後者とみるべきではないか。

日米欧の来年の成長率を展望すれば、米国のみが3%台となり、日欧ではともにデフレ懸念が続きそうだ。とくに円をめぐる状況は180度転換している。円高リスクから円安バイアスへ。その結果、2010年は一転、ドル高・円安がどこまで進むのかが焦点となろう。

ドルインデックスの動きをみると、リーマンショックの直後に底値から大きく反発。その後、2009年3月以降は一貫して下落トレンドをたどった。このドル安は、米景気の悪化が原因ではない。むしろ、急速な景気悪化、経済が最悪期を迎えた後、大胆な財政・金融政策によって、米景気回復・世界景気回復が明確となったことが主要因だ。ドルはグローバルにみて、キャッシュ=現金、としての役割を有している。景気回復を背景とするリスク選好基調のもとでは、「現金としてのドル」を売却し、リスク資産を購入しようという動きが強まる。春以降の景気大底からの急激なリバウンドは、リスク選好の急回復をもたらし、米国株価・世界全体の株価が上昇基調を強めるなかでドルは下落した。

対照的に資金が流入したのが新興国株式市場であり、買われたのが新興国通貨・高金利通貨・資源国通貨である。またコモディティにも資金が流入した。総じて、新興国は内需が堅調で相対的に成長率が高くインフレ懸念がある。先進国はバランスシート調整圧力が残存し、需給ギャップからデフレ懸念のもとにある。金融政策は自ずと前者は引き締め基調となり、後者は超低金利政策のもとにある。こうした金利差の存在はキャリートレードを促している。資金の流出源は先進国全体であるが、通貨としてはとくにドルが売られ続けた。その背景には、FRBによる量的緩和・ゼロ金利政策がある。そして、ライバルであるユーロは、ユーロサイドにとくに好材料がないなか、ドル安の裏返しとして、新興国通貨の後を追うように上昇を続けた。

2010年はこうした環境が変化しよう。FRBによる超低金利政策が持続するとの見方は、米雇用情勢の悪化が背景だった。しかし米国景気の拡大・企業業績の改善は、雇用悪化に歯止めをかけつつある。失業率はピークアウトした可能性があり、となると、FRBはいわゆる出口戦略の実行段階に移行する。すなわち、もはやドルの超低金利を前提とした相場の流れは持続しがたい。FRBは夏場には利上げを開始する可能性がある。すでにそうした変化を嗅ぎ取って、ドルキャリートレードは解消に向かい、ドルが買い戻される過程に入りつつある。その際、単にドル安トレンドを背景として上昇を続けた資産ないし通貨は下落しやすい。前者の例は金相場であり、後者の例はユーロである。


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深谷 幸司氏
ドイツ銀行グループ ドイツ証券株式会社 シニア為替ストラテジスト
東京大学法学部卒業後、三菱銀行入行。円債券ディーリング業務、為替アナリスト、チーフエコノミストを歴任。現在はドイツ証券 シニア為替ストラテジストとして活躍。


日本証券アナリスト協会検定会員。
ユーロマネー誌日本版東京外国為替市場調査 2000年〜2004年、5年連続 顧客投票・長期予測部門・第1位。
週刊エコノミスト・為替欄に定期的に寄稿。
ロイター、共同通信、ブルンバーグ、日経クイックなど、マーケット系メディア、日経新聞などにコメント多数。

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