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「円高リスクから円安バイアスへ」 (続き)
ドルの最大のライバルであるユーロには、さらに弱点も散見されはじめた。ギリシャなど周縁国の財政悪化・格付け悪化、中東欧の対外債務問題、域内金融機関の不良債権問題や貸出の低迷、デフレ懸念。ECBも出口戦略実施のタイミングを模索しているが、FRBよりも先に利上げを開始するのは難しくなってきたのではないか。
そうしたなか、円を巡る環境はどうか。ドル円相場は昨年85円を割り込み、14年ぶりのドル安円高となった。短期的にはドバイ問題がきっかけとはなったものの、リスク選好基調が基本的に維持されるなかでドル安円高となった点が、ここ数年の円高局面との違いである。夏場以降の円高については、多分に民主党政権が誕生したことにより、投機的な円買い機運が高まったことが大きいだろう。内需主導型経済への移行を掲げる同党のスタンスは、円高容認であり、日銀の利上げ容認とされていた。
しかし状況はすでに変化している。政府・民主党は、日本経済の現状をデフレ状態と明言し、明確な円高阻止姿勢に転ずるとともに、日銀に対し金融緩和の協力を求めた。日銀はデフレ状況との認識を共有し追加緩和に動いた。白川総裁はインフレ率マイナスを許容しないと明言。一方で、日銀の展望レポートでは、インフレ率は当面マイナスが続くと予想されている。その結果、事実上「時間軸効果」を効かせているのと同様のレベルまで緩和スタンスが強化されたことが明確となった。つまり、為替政策・金融政策についての市場の見方はすでに180度転換。とくに金融政策については、各国が出口を模索するなか、日銀が逆に追加緩和に動いたことで、その方向感の異質性が際立ってきた。
こうした結果、2010年には一転して、ドル高・円安がどこまで進むか、が焦点となろう。日米長期金利差の拡大を背景に、2010年秋から年末には、ドル円相場は100円に到達すると予想する。またそのタイミングは予想外に早いのかもしれない。
ユーロ円相場は130円前後で方向感のない展開となりそうだ。ドルは対ユーロ、対円、ともに上昇しよう。ユーロ円相場は、ドルに対してどちらの通貨が弱いか、という勝負となる。ドルが本格反発すれば、その影響は、ドルのライバルでありかつ金利差がないなか対ドルで大きく上昇し、なおも割高な水準にあるユーロに対し、大きくなるだろう。一方、円とユーロを比較した場合、利上げのタイミングは欧州が早くなる可能性があり、ドルに遅れながらも年後半に欧州の利上げ実施となれば、日欧金利差の拡大を背景に、ユーロ円相場は底固くなろう。
新興国通貨・高金利通貨・資源国通貨全般も、対ドルではユーロと同様の立場にある。しかしながら、相対的に高い成長率・金利は着実にこれら通貨の下支え要因となろう。対ドルでは多少の調整は見込まれるものの、先進国通貨全般に対しては優位性を維持しよう。その結果、対円相場は底固く推移。たとえば、豪ドル円相場は、80円割れでは底固く、さらなる金利差(2年債利回り格差)拡大に応じて80円台後半を目指す展開が想定される。その他の通貨についても、円が全般的に軟調に推移すると想定されることから、対円相場は基本的に底固く堅調となろう。
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