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2010年1月から株価の調整を続ける香港市場。株式会社サーチナ顧問の田代氏は、企業の業績は回復しているにもかかわらず株価が下がっている今の状況は、「
押し目買いのチャンスとなりそうだ
」と表明しています。
では、田代氏がこのような相場の中で注目している銘柄やセクターとは?今月もマネックス中国レポートにご注目ください。
1月のハンセン指数は上旬に上昇したものの、その後11日を天井に大きく下落した。最終週には一旦下げ止まったが、依然として2009年9月上旬以来の安値水準にある。ドバイ・ショック以降、ハンセン指数はNYダウとの連動性が薄れ、上海総合指数との連動性が高まっていたが、そうした傾向は1月に入ってさらに強まった。
本土では2009年12月中旬以降、不動産投機抑制、生産過剰産業の生産・投資抑制、銀行への監督管理の強化など、株式市場にはネガティブとなる政策が相次いで出されている。それぞれ独立した問題のようだが、発生原因において、銀行の貸出姿勢に問題があるといった共通点がある。
政府がもっとも注視しているのは銀行の新規貸出。昨年の人民元新規貸出額は9兆5779億元と、通年では全人代で決定した目標の2倍近い額となったわけだが、下半期では2兆2106億元と、人民銀行の徹底した監督管理によって低く抑えられていた。それが1月に入ると急増、最初の1週間で6000億元、19日時点で1兆4500億元に達した模様。こうした状況に対処するために、人民銀行は銀行に対する新規貸出を厳しく制限した。
規制の内容は、量だけではなく、質にも及んだ。銀行は“株式投資目的の資金を貸し出してはならない”といった規制があるが、こうした違法資金が実際には大量に存在する模様。不動産融資規制に加え、株式投資での違法資金の摘発を強化したことで、1月後半の本土市場は大きく下落した。そもそも中国人個人投資家は香港株の売買を禁止されているため、直接的な影響はない。しかし、株価下落は金融引き締め観測を強めると言った効果を生み、それが香港株の下落を加速させたといえよう。
相場見通しでポイントとなるのは、政府はこの先、積極財政政策をフェードアウトし、金融政策をこれまでの“適度な緩和”から“引締め”に転じるかどうかであろう。ファンダメンタルズをみる限り、昨年第4四半期の実質GDP成長率は10.7%とV字回復を果たしているが、成長の質は良くない。外需が足を引っ張る中、公共投資を中心に設備投資が急増することで、高成長を達成している。消費は堅調だが、依然として力不足、民間設備投資はまだ弱い。不動産価格の急騰、生産過剰産業の生産・投資増、自動車など一部の産業での異常な生産増。消費に関しても、自動車、家電製品などに対する政策によって需要を“先食い”している可能性がある。
政府は現在引締め気味の金融政策を行っているが、それは景気過熱を抑えるために、総需要をコントロールしているのではない。政府主導による成長の歪みを調整しているのである。政府要人が、今年も積極財政政策、金融緩和政策を続けると度々発言しているが、今後その通りになるであろう。金融引締め懸念を悪材料に株価が下げ続けるならば、企業業績見通しが良いだけに、ここは押し目買いのチャンスとなりそうだ。
出所:中国人民銀行データよりTS・チャイナ・リサーチ作成
(注)直近データは2009年12月
1月に相対的に堅調であったのは、ディフェンシブな高速道路、電力、業績好調な鉄道インフラ建設、輸出入の大幅な回復、国際運賃の上昇が材料視された海運、黒字転換、産業構造調整が進みそうなことが材料視された航空など。一方、ネガティブな政策の出た不動産、生産過剰産業の代表であり、赤字拡大が嫌気された鉄鋼などが大きく下げている。
2月は、金融引締め懸念は消化あるいは解消されると予想されるので、銀行、保険、不動産などに注目したい。また、景気敏感株の中からリターンリバーサルが狙えそうな非鉄金属、石炭などにも注目。
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田代 尚機氏
(株式会社サーチナ顧問)
1958年愛知県生まれ。1984年東京工業大学大学院理工学専攻修了後、大和総研に勤務。1994年から大和総研の代表として北京に駐在し、中国経済担当エコノミスト、中国株担当アナリストとして活動。
2003年10月から2007年2月まで内藤証券に勤務。中国部長としてプロモーションを中心に中国ビジネス全般を担当。2008年TS・チャイナ・リサーチ株式会社を設立し、現在は中国株・中国経済に関する雑誌やセミナー等への出演を中心に活躍の場を広げている。
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