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2010年2月号 マネックス・中国レポート

2010年に入って以降、株価低迷を続ける中国・香港市場。中国当局の金融引締め懸念、ギリシャの信用不安問題など要因はいくつか挙げられているようです。

中国の金融政策に関する当局の思惑と市場の反応は?ギリシャ問題の進展は?その他にどのような不安材料が垣間見られるのか?など、今月も株式会社サーチナで顧問を務める田代尚機氏が、明快に持論を展開します!

田代尚機の注目5銘柄 ギリシャ問題が香港市場に与える影響?投資戦略レポート

田代尚機の中国投資戦略レポート

2月のハンセン指数は“行って来い”の展開

【グラフ】図1.ドバイ・ショック後の3指数の推移
2月のハンセン指数は初旬上昇したものの3日を天井に急落、8日には終値ベースで昨年9月2日以来の安値19551ポイントを記録した。しかしその後は、15、16日の春節を挟み、荒っぽい動きながら上昇を続け、26日現在20609ポイントと、月初めの水準を上回るまで回復している。

香港市場の動きは(1)中国の金融引締め懸念、(2)ギリシャの財政不安、アメリカ経済の状況と出口戦略などの国際経済金融情勢に左右されている。

まず、中国の金融政策であるが、中国人民銀行は1月12日、電撃的に発表された預金準備率の引き上げ(18日より実施)、銀行への貸出管理強化などから引締め気味の政策を進めていたが、1月下旬から春節直前にかけて、期限の到来した手形を買い戻す一方、新たに発行する手形を減らし、流動性供給を増やした。その結果、一旦引締め懸念は収束に向かった。

2月12日、再び預金準備率の引き上げ(25日より実施)を発表したが市場の反応は冷静であった。引上げの理由は春節前に膨らませた流動性を一旦吸収することであり、引締め政策への転換を意味するものではないと多くの市場関係者が理解したからである。2月11日、1月の物価統計が発表されたが(図2参照)、消費者物価指数は1.5%上昇にとどまり、12月と比べ0.4ポイント低下した。事前の市場コンセンサスは1.7〜1.9%であり、物価は予想以上に落ち着いている。不動産価格の上昇には依然として、政府は警戒感を持っているが、インフレ懸念を強めているわけではない。むしろ、金融を引締めて景気が腰折れしてしまうリスクを意識しているようだ。

ギリシャの財政不安については2月15日に開かれたEU財務相会合で、ユーロ圏16カ国は条件付きでギリシャの財政再建計画を承認、一旦沈静化した。また、アメリカ経済は一進一退を続けている。アメリカ連邦準備理事会は18日、公定歩合引き上げを発表したが、その後出口戦略が急速に進むといった見方は少ない。NYダウは2月上旬から中旬にかけて上昇、その後は横ばいといった動きが続いているが、その動きをグローバルなリスク投資の動きとみなせば、香港市場の回復はほぼ説明できよう。

【グラフ】図2.物価指数(前年同月比)の推移

出所:中国国家統計局データよりTS・チャイナ・リサーチ作成
(注)直近データは2010年1月

財政政策への期待と今後の不安材料

相場見通しでポイントとなるのは、ネガティブな金融引締め政策への懸念ではなく、ポジティブな財政政策への期待であろう。政府は金融緩和政策、積極財政政策の継続を再三表明している。今年の人民元新規貸出増加額について、政府は7兆5,000億元を計画している。昨年の実績9兆5,779億元と比べれば少ないが、歴史的にみれば昨年に次ぐ高水準である。政府ははっきりと金融緩和することを示している。

今年の積極財政政策はこれまでの鉄道、道路などのインフラに加え、地域開発が大きなテーマとして浮上してこよう。昨年来、中央が開発計画の意見書を発表したり、話題に上ったりした地域を列挙すれば、広西、長江三角州、珠江三角州、寧夏、重慶、福建省海峡西岸、横琴、江蘇沿海地区、遼寧沿海経済ベルト地帯、黄河三角州、図メン江、江西、海南島、新疆など。地域ごとに特色のある発展戦略を立てることによって、経済の持続的な成長を図ろうとしている。

不安材料は、ギリシャをはじめとした南欧の財政不安再燃、アメリカ経済の回復の遅れまたは逆に出口戦略の進展など。本土要因がポジティブでも国際要因が上昇の妨げとなる可能性がある。

【グラフ】図3.人民元新規貸出額の推移と見通し

出所:中国人民銀行データよりTS・チャイナ・リサーチ作成
(注)直近データは2010年1月

地域政策関連銘柄、インフラ関連などに注目

2月に堅調だったセクターは、市況が回復した石油、石油代替エネルギーとして注目された石炭、材料出尽くしで自律反発した不動産、足元の発電量が増加した電力、輸出入の急増を好感した海運など。一方、軟調だったのは、原油先物価格上昇の影響によりコストアップとなる石油化学や紙など。平安保険は、非流通A株の全株流通化(3月1日)により、需給悪化懸念が台頭、A株が売られたが、H株はそれに連れ安となった。保険株はセクター全体で売られた。

3月は政策情報が材料になると予想、地域政策関連銘柄、インフラ関連などに注目。


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田代 尚機氏 (株式会社サーチナ顧問)
1958年愛知県生まれ。1984年東京工業大学大学院理工学専攻修了後、大和総研に勤務。1994年から大和総研の代表として北京に駐在し、中国経済担当エコノミスト、中国株担当アナリストとして活動。
2003年10月から2007年2月まで内藤証券に勤務。中国部長としてプロモーションを中心に中国ビジネス全般を担当。2008年TS・チャイナ・リサーチ株式会社を設立し、現在は中国株・中国経済に関する雑誌やセミナー等への出演を中心に活躍の場を広げている。

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