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6月の香港市場は、いったん上昇したものの月末から7月にかけて、再び下落してしまいました。月中には「人民元の弾力化」の発表も行われましたが、現在のところ人民元レートの変動幅は小さく、株価形成への影響は軽微なようです。
そしていよいよ7月中旬には、「中国農業銀行」のIPOが控えています。株式会社サーチナ顧問の田代氏によると、このIPOは史上最大規模となる見込みで、注目する必要があるとのこと。
過去の国有銀行による大型IPO後の株価推移など、今月も見逃せない情報が満載!
今月も中国レポートをぜひご活用ください。
6月のハンセン指数は、7日終値19378.15ポイントをボトムに上昇、21日には終値で20912.18ポイントを付けている。この間の上昇率は7.9%。その後はしばらくもみ合った後下落、7月2日は19905.32ポイントで引けている。
(図1 4月急落以降の4指数の推移参照)
6月中旬の上昇要因のひとつは欧米投資家のリスク許容度の高まり。ユーロの反転上昇、NYダウの上昇に代表されるように、欧州財務危機に対する過度の悲観が後退、投資家が積極的にポジションをとり、株価は上昇した。もっとも、下旬からのNYダウは経済回復の遅れが意識され、下落基調をたどっている。欧州財務危機やアメリカ経済に対する見通しのちょっとした変化に、投資家心理は過敏に反応する。こうした影響を受け、ハンセン指数も6月下旬から7月初旬にかけては下落している。
(出所)各取引所データより株式会社サーチナ作成
(注1)2010年4月16日時点での各指数を100とする
(注2)データは全て終値ベースで計算
(注3)休場の値は前後の値を結び補正
(注4)直近データは2010年7月2日
6月19日、中国人民銀行は、「人民元為替レート改革を更に一歩推し進め、人民元レートの弾力性を高める」と発表した。いわゆる人民元の弾力化といわれる政策である。この発表に前後して、市場では人民元上昇期待が高まり、そのことがハンセン指数を牽引した。しかし、具体的には2008年7月以前のシステムに戻すといった内容。リーマンショックが起こる2カ月前の段階で、付加価値の低い製品を作る輸出関連企業は人民元高によって、業績不振に陥り、沿岸地域を中心に失業問題が深刻となった。
そうした状況で政府は緊急措置として人民元レートを事実上ドルとペッグしたのであるが、今回の措置はこうした特別措置の解除ともいえよう。発表後も、人民元・ドルレートの変化は小さく、市場関係者の間でも、せいぜい年間3〜5%程度の上昇であろうといった予想が定着するとともに、株価上昇効果ははげ落ちていった。
(図2 元ドルレート基準値の推移参照)
(出所)中国人民銀行データから株式会社サーチナ作成
(注)直近データは2010年7月2日
中国農業銀行のIPOがいよいよ目前に近づいた。H株の上場日は2010年7月16日。募集期間は6月30日から7月6日。ちなみに、A株の上場日は前日の15日。もし、ブックビルディングの上限価格で決まり、15%のオーバーアロットメントオプションを行使したとすれば、H株だけで130億ドルもの発行規模となる。A株を合わせれば232億ドルとなり、今回のIPOは2006年10月の中国工商銀行(219億ドル)を抜き、史上最大規模となりそうだ。
超大型IPOに関して、A株とH株ではどうも反応が違うようである。A株IPOについては、国内機関投資家、個人投資家ともに、マーケットの地合いが悪いことから、比較的慎重な意見が多いようである。A株ブックビルディングの上限価格は2.68元。一方、H株の上限価格は3.48HKドル。公募価格は上限価格で決まると仮定すれば、A株はH株と比べ11%ほど割安となる。
H株のIPOでは機関投資家向けが95%を占めるが、ロードショーの結果をみる限り、応募倍率は10倍を超えた模様。どうやらIPO自体はうまくいきそうである。問題は“初値がいくらか、その後の株価形成がどうなるか”である。6月下旬から7月初旬にかけて、ハンセン指数の動きが相対的にNYダウや上海総合指数と比べて堅調なのは、このIPOへの期待が高いからである。決して需給悪化で売られているわけではない。こうした地合いが続けば、外部環境が大きく悪化しない限り、7月後半の香港市場は上昇する可能性がある。
ちなみに、4大国有銀行の内、中国建設銀行、中国銀行、中国工商銀行が上場している。上場後の株価推移をみると、いずれも堅調に推移している。
(図3 国有銀行上場と株価の関係参照)
需給悪化懸念で売られるのではなく、大型上場銘柄の登場で株式市場に資金が流入、株価上昇に弾みがつき、株価は上昇している。
(出所)取引所データから株式会社サーチナ作成
(注1)直近データは2007年12月
(注2)2005年1月1日の株価を100とする
6月中旬の上昇局面では、農業、食品、紙、石油、石炭、不動産、航空などが買われ、機械、高速道路などが売られた。一方、6月下旬から7月上旬にかけては、高速道路、通信などが比較的堅調な動きとなったが、石炭、鉄鋼、航空、不動産が売られた。
7月は人件費上昇で恩恵を受ける消費関連、中間決算発表を控え業績好調銘柄に注目。
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田代 尚機氏
(株式会社サーチナ顧問)
1958年愛知県生まれ。1984年東京工業大学大学院理工学専攻修了後、大和総研に勤務。1994年から大和総研の代表として北京に駐在し、中国経済担当エコノミスト、中国株担当アナリストとして活動。
2003年10月から2007年2月まで内藤証券に勤務。中国部長としてプロモーションを中心に中国ビジネス全般を担当。2008年TS・チャイナ・リサーチ株式会社を設立し、現在は中国株・中国経済に関する雑誌やセミナー等への出演を中心に活躍の場を広げている。
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